映画『バーバー』の感想
タバコの吸い方が、何かハードボイルドものの主人公みたいでやたら渋くてカッコよい。
無口で、社会を斜めから見ているような主人公なのだが、実はもっとも頭のおかしな人で、本当は、俗世間に馴染めなかった孤独な男の切ない妄想のようでもあったようなストーリー、実に自分好みであった。
モノクロ撮影が実にすばらしく、白黒のわざと陰影を強くしたような映像が、フィルムノワールを強く意識させて、そこに被さるベートーベンのピアノソナタ「悲愴」が、気持ちを救ってくれるようだった。絶対に、現世では手に入れる事ができない感じを印象付けて、優しく切なくなった。